2010.10.13
「こどものにわ」設置作業 その2
イギリスのワークスワースフェスティバルは9月26日に、東京のこどものにわは10月3日に終了し、共に撤去作業も終わりました。
来てくださった方、本当に有り難うございました。


さて、前回の続き。




はめ込んだミラーは、缶バッジの裏側がピンではなくて鏡がはめ込まれているものです。袋に入った状態はビスケットみたいです。
去年イギリスで同じ作品を制作したときに使ったものと同じ物を日本で探して、日本で発注したのですが、実はイギリスで使ったものとは微妙に違っていて、それが後で大変なことになるのですが、その話はまた後で。





ミラーのはめ込みには法政大学と筑波大学の学生がボランティアとして手伝ってくれました。
四角く縫われたポケットに丸いミラーを一つずつ手で入れて行くのですが、展示中にミラーが飛び出たりしないようにギリギリのサイズで縫ってあるので、コツをつかむまでに少し時間がかかります。
指を酷使するので、テーピングをしたりしながら、痛くなる指にも耐えて頑張ってくれました。





スポットライトを設置して、角度を調整してみます。





もう少しで半分というところまできました。
ここまでで一日半くらい。





まだ完成していませんが、休憩中に光がどんな感じなのか見てみました。
スポットライトを点けて、展示室の天井の明かりを消すと、「わぁーっ」と歓声が上がりました。
地道な労働作業も報われる気がします。





あともう少し。





最後に布の端を下に折り込んで両面テープで床に貼付け、




完成。

作業の予定を5日確保していましたが、ボランティアの学生達が頑張ってくれたおかげで3日半程で終わりました。


7月23日、ついにオープニングの日を迎えました。







胸に小学校の入学式のような花飾りを着け、挨拶。






こちらは2004年に制作したビデオインスタレーション「lines」のリメイク。
白黒の線のアニメーションが縦横に動いたり回転したりのびたり縮んだりします。





マットの上を歩くと反射した光が連動して動きます。


作品はとても好評でした。
恐る恐る足を踏み入れる大人、はしゃぎ回る子供、子供のように遊ぶ大人、色んな反応があって面白いです。



が、


問題発生。

鏡が割れてる。


この日は割れたものを予備のものに入れ替えるのにつきっきりでした。

ミラーは中を開けてみると、以前にイギリスで使ったものよりも鏡の厚さがかなり薄く、とてもこの作品に耐えられる厚さではないことが判明しました。
発注前に確認しなかったことが今でも悔やまれます。
まずは応急処置として、割れる枚数を減らすのと安全対策のために観客にスリッパを履いてもらうようにし、毎日閉館後に透明のテープを鏡の表面に一枚一枚貼って、割れても破片が飛び散らないようにしました。
2ヶ月を超える長い会期なので、最終的には鏡を割れにくい物に全て入れ替えなければならないという話になったのですが、安い買い物ではないので、一時は途方に暮れました。しかし、予想を超える来場者の数で、チケットの売り上げも順調だったので予算の余裕もでき、展覧会が始まってから約三週間後、全てアクリルミラーに入れ替えることができました。ガラスの鏡と比べて多少表面が傷つきやすいですが、その後は一枚も割れること無く、無事に会期を終えることが出来ました。

同時開催の展覧会の影響もありましたが、美術館の普段の企画展と比べてもかなり多くの来場者があり、最終的には累計8万人を超えたそうです。
計画、準備、制作、メンテナンスと、本当に大変でしたが、多くのことを学ぶことができ、また、沢山の人に見てもらい楽しんでもらうことができました。

作品のページにはカメラマンの方が撮影した画像が届き次第アップします。

2010.9.24
「こどものにわ」設置作業 その1
2ヶ月以上あった「こどものにわ」の会期も残り後わずかとなりました。
おかげさまで大変好評で、入場者数も予想を上回る多さだと聞いています。
来てくださった方、本当に有り難うございました。
まだ見ていないという方は是非お越しいただければ幸いです。

さて、現在イギリスにて開催されているワークスワースフェスティバルというアートフェスティバルのために先月渡英し、今、イギリスにてこのブログを書いています。
こちらの展覧会では旧作を2点、新作を1点、合計3点の作品を展示しています。
東京で展示している作品2点を合わせると同時に5点の作品が展示されているというのも珍しいですね。
こちらのイギリスでの展示については後のブログで書いていこうと思いますが、今回は前回の続きとして、「こどものにわ」の設置作業について書こうと思います。




まだ何も無い状態の展示室です。

位置決めをして、養生テープを貼っていきます。





グリッド状にテープを貼り、その上に両面テープを貼ります。

設置業者のスーパーファクトリーさんと一緒に作業しています。





その上に32枚のウレタンマットを貼っていきます。

同じサイズのものを32枚発注したのに、なぜか微妙に一枚一枚大きさや厚さが違っていて、微妙に調整しなければなりませんでした。





つなぎ目を両面テープとガムテープで張り合わせ、




さらにその上から樹脂面と呼ばれるキルトの中身に使われているような化繊の綿のシートを上から被せます。

これはクッション性を高めたりウレタンマットとの摩擦を軽減したりする役目があります。





さて、いよいよ布を被せ、鏡をはめていきます。

端から順番に、少しずつ布を広げながら進めていきます。

鏡の枚数は全部で7744枚!



次へ続く

2010.7.16
制作中 その後
制作中の作品、その後、64枚のユニットが無事縫い上がりました。


全部積み重ねると、こんな感じです。






そしてこれを縫い合わせて一枚の大きなシートにするのですが、なにせ大きいので大変です。





黒い塊とひたすら格闘です。


広げるとこんな感じです。





これを広げて、折り畳むだけで汗だくの重労働です。





ずっしり。重さ27kg。

7月5日、美術館へと旅だって行きました。


現在、現場にて仕込み中です。

2010.6.9
トヨタコレオグラフィーアワード2010




2008年に舞台美術を担当した神村恵カンパニーの「配置と森」が、トヨタコレオグラフィーアワード2010のファイナリストに選ばれ、世田谷パブリックシアターにて、最終審査会で上演されます。
振付家神村恵氏とのコラボレーションにより、2008年に横浜のSTスポットで初演、2009年に六本木Super Deluxeで再演が行われた「配置と森」。2時間程の作品を20分程度のものにして上演するそうです。

トヨタコレオグラフィーアワード2010 ネクステージ
7月19日(月・祝) 14:30開場/15:00開演
開場:世田谷パブリックシアター
くわしくはこちら





2010.5.21
ワークスワースフェスティバル
昨年の秋に参加した、イギリス、ダービシャー州、ワークスワースでのワークスワースフェスティバル、今年は企画展に参加することになりました。
去年展示した作品「cube ring」を再展示する他、過去の作品、新作も展示する予定です。





2010.5.17
制作中
今制作している作品の材料はこれです。





150cm巾の布のロールが2本。
合計約85mです。
日暮里の繊維街で仕入れてきました。
ここまであるとかなり重いです。大きい方のロール一本で30kgくらいありました。
さすがに持って帰るのも無理なので、宅配してもらいました。

ここまで大人買いすると気持ちいいですね。


次は使っている道具。





これは今回の制作のために作った手製のテンプレートです。

プラスチックの板にカッティングとマーキングをするためのスリットを切り抜きました。
同じ物を大量に作らなければならないので、これでいちいちサイズを測ったりする手間が省けます。

テンプレートの下に敷いてあるグリーンのカッティングマットも今回の制作に欠かせない道具の一つです。

なぜなら、





このロータリーカッターでテンプレートの十字のスリットに沿って切れ目を入れるからです。

この升目は縦横11列ずつあって合計121あるので、このテンプレートとロータリーカッターが無かったらとてもじゃないけどやってられません。
ロータリーカッターもいろいろなものがありますが、これはグリップが手にフィットする形なので、他のものと比べるととても使いやすいです。


そしてマーキングは、これを使っています。





これ、チャコペンなんです。

つい最近までこんなものが存在するとは知りませんでした。
水性インク式のボールペンとほぼ同じなのですが、「アイロンチャコペン」という名の通り、後でアイロンをかけると熱でマーキングした線が消えるんです。
細くてシャープな線を沢山引くにはにはとても便利です。
以前は鉛筆式のを使っていたのですが、かなり頻繁に削らなければならなかったのでこれはとても楽です。
しかし、すごい勢いでインクが減るので、沢山必要です。


カットとマーキングが終わった状態の布はこんな感じです。





この十字にカットした部分を織り込んで縫います。


縫製はこのミシンを使っています。





ミシンが動かないように机に板きれをクランプで留めて固定しています。

なんだかこのブログが商品の宣伝みたいになってしまうようで嫌なので商品名等は書きませんが(メーカー名は見えちゃってますが)、このそんなにプロ向けではない家庭用のコンパクトミシン、なかなか優れものです。






左側のカバーを外して下の台に取り付けるとテーブルが大きくなるんです。
平で大きな物を縫うにはとても助かります。

真ん中の部分は小物入れになっています。


糸も大人買いです。





工業用の糸で、一本2000mあります。
6本買ったので、合計12000m。
なんだか長距離走みたいですね。
一応長さを計算して買ったのですが、縫い始めて実際に使った分で計算してみると、これでも足りなくなりそうです。

長い道のりです。

この糸、上の写真だと大きさがよくわからないですが、






大きいです。

そしてミシンの糸立てには立てられないので、専用の糸立てを使っています。


さっきの布を縫った第一段階はこんな感じです。





表側は、





こんな感じ。


これにもう一枚同じサイズの布を重ねて縫い合わせます。






今までに縫った分を重ねるとこのくらいです。





このユニットを後で全て縫い合わせて大きな一枚のシートにします。


現在、糸は三本目に突入。


あと何十枚作るかは、ここには書かないでおきますが、、



まだ先は長そうです。

2010.4.27
折角新しいカメラを買ったので、少し頑張ってブログの更新をしていこうかと思います。
昨日、大家さんに家賃を払いに行くと、「筍いるかい?」と聞くので、「はい」と答えると、「じゃあそこの長靴はいて」ということになり、突然筍を採りに行くことになりました。
スタジオのすぐ裏に大家さんの家があり、その脇にある竹林も大家さんは所有していて、以前にもこの時期に大家さんが採って来た筍をもらったことはありましたが、採りに行くのは初めてです。





長靴を履き、鍬を持って、筍を掘りに行きました。大家さんは、一日に20本も掘って、親戚や知り合いに筍を配ったりするそうです。今年も既に沢山掘っていて、もう掘り疲れているらしく、僕に掘らせてくれました。
三本掘って、二本は北海道の実家に送りました。





米ぬかと鷹の爪で灰汁抜きをして、早速料理してみました。

一日目は、先っぽの部分で、筍の刺身。





堀りたての筍は、とても新鮮で、柔らかく、わさび醤油にとても合いました。

二日目は、筍ご飯と、煮物。





旬の味を堪能しました。

さて、次回は今やっている作品の制作について書こうかと思います。

2010.4.12
New Camera
今までずっと使っていたデジタルカメラが旅行中に雨で水浸しになり、保険がおりたので、思い切って新しいカメラを買いました。
機種はOLYMPUS PEN Liteです。



これまで作品の撮影は、自分のカメラはフィルム式の一眼レフしか持っていなかったので、デジタルで撮りたいときには友人から借りたりしていました。フィルムで撮ったものもいつもスキャンしてデジタル化しなければならなかったので、デジタル一眼レフがいつかほしいとずっと思っていました。でも一眼レフのカメラって大きくて重いので、作品の撮影にはいいとしても、普段から持ち歩いたり旅先で使うにはちょっと使いづらいと思っていたのですが、探しているうちに「マイクロ一眼」という存在を知りました。普通の一眼レフと比べると本当に軽くて小さいし、持ち歩くのも楽そうです。
このカメラ、実は小さい一眼レフを探したのではなくて、ハイビジョン映像が撮影出来るデジカメを探していてその存在を知ったのですが、一眼レフに劣らない性能で、小さくて、しかも高画質の映像が撮影出来るなんて、至れり尽くせりです。
また作品の記録の話になりますが、ビデオ撮影もいつも必要で、9年も前に買った古いカメラをずっと使っていたのですが、これもそろそろHD画質に切り替えた方がいいと思っていた所でした。しかも一眼レフのカメラはレンズが高性能なので、ビデオカメラと比べてもかなり高画質な映像が撮れるらしいのです。
カメラを手に入れた日、天気も良く、近所の桜も満開だったので、早速撮りに行ってみました。











2010.4.8
「こどものにわ」詳細情報
今年夏に参加するグループ展「こどものにわ」が行われる東京都現代美術館の2010年度の年間スケジュールが発表されました。展覧会の紹介文と詳細が掲載されているので、ここにも紹介します。

こどものにわ
GARDEN FOR CHILDREN
    小さなこどもの認識世界や心象風景に着目して構成する乳幼児から大人まで楽しめる展覧会。若手作家による空間全体を作り出すような参加型・体験型の新作を中心に展示します。こどもの視点や身体感覚、気持ちを通してとらえた美術世界を周りの大人が共有、あるいは追体験することで、年齢層の異なる他者とのコミュニケーションや、人と美術の関係を再考・再発見するような機会を創出します。
出品作家:出田郷、遠藤幹子、大巻伸嗣、KOSUGE1-16、サキサトム
7月24日(土)→10月3日(日)月休
8/16, 9/20開館   9/21休館

2010.3.23
トーク@ARCUS
2006年にレジデンスアーティストとして滞在、制作した、茨城県守谷市のアーカスプロジェクトで、トークをすることになりました。
「ロッカールーム」春のお披露目会の一部として、3月28日、午後2時半から一時間のトークをします。
詳細はアーカスのサイトをご覧下さい。

2010.2.17
2010年予定の展覧会
最新作「reflections」を作品のページに更新しました。これで一通りのリニューアルの作業が終わりました。この鏡と光を使ったインスタレーション「reflections」は、昨年11月にイギリス、ニューカッスルで開催されたWunderbar Festivalの一部として、Vane Galleryで展示され、今年の夏、東京都現代美術館で開催予定の展覧会「こどものにわ」で展示予定の作品の試作品として制作しました。
展覧会の詳細は以下の通りです。

「こどものにわ」
会期:2010年7月24日(土)〜10月3日(日)
場所:東京都現代美術館 企画展示室地下2階、アトリウム
住所:東京都江東区三好4-1-1
参加アーティスト:出田郷、大巻伸嗣、KOSUGE1-16、遠藤幹子、サキサトム

2010.2.10
リニューアル!
ウェブサイトをリニューアルしました。
デザインを全面的に変えて、作品のページにも新しい作品を追加しました。
今後まだ2008年と2009年の作品を追加していきます。
ブログも新しくしましたが、以前の古い物は2004年から去年のものまではまだ読めるようにしました。
古いサイトはしばらく見られるようにしていましたが、これをもって閉鎖します。

2011>>